歯科治療にともなう交叉感染は,エイズや B型・C型肝炎,あるいは MRSAに関する情報が浸透するにつれ,広く一般から注目される問題となってきた。特に,日常の診療で多用されるエアータービンハンドピースは,汚染の著しい器材であるにもかかわらず,滅菌操作の煩雑さ,滅菌による耐久性の低下,あるいは経済的に困難であること等の理由から感染予防対策が立ち後れていたののひとつであり,近年になってようやく,患者毎の交換,滅菌の必要性が認識されるに至っている。しかしながら,これまで一般に用いられてきたエアータービンハンドピースシステムでは,汚染はハンドピース内にとどまらず,ハンドピースとユニットを接続するチューブや,さらにそれらを通過してユニット内部にまで及ぶ危険もあって,患者毎にハンドピースを滅菌,交換しても根本的な対策にはならないことが指摘されている。
給水系,給排気系の汚染
- 駆動停止時の給水回路への吸引による汚染駆動停止時の冷却水の滴り防止のため,給水系には停止と同時に冷却水を吸い戻す吸引装置が組み込まれている。多くの例で冷却水の過剰な逆流が生じるため,口腔内汚染物質も同時に給水管内へ吸引され,管内を汚染する。この汚染はハンドピースを越えてチューブやユニット内にまで吸引される危険があることが確認されている。これらの汚染物はハンドピースを交換してもその場に留まり,直接次の患者の口腔内に噴出されるだけでなく,給水系の持続的な汚染の原因にもなりうる。
- 駆動停止時のタービンヘッド内ならびに吸排気系への汚染駆動停止後のローターの惰性回転は,タービンヘッド内に陰圧を発生させ,微細な間隙から汚染物を吸引し,ヘッド内部を汚染する。さらに,回転を再開するとこの汚染物質を排気管に吹き出し排気系も汚染する。排気系に侵入した汚染物は,周囲に汚染物を拡散させる可能性がある。これまで我が国で使用されていたタービンはほとんどが3穴式(ドライブエアー,チップエアー,冷却水)であったため,排気は術者の手元から診療室内へ直接放出されていた。さらに,回転と停止を繰り返すことにより給気管内部も汚染される事が確認されている。給水系・給気系への吸引汚染防止対策給水系に関してはいろいろな逆流防止弁が用いられているが,その反応の早さと閉鎖の確実さが求められている。また,できるだけハンドピー歯科用ス先端に近いところに装着されている方が有効と쬠えられる。そういった観点から図2に示す小型のシリコーンゴムを応用した簡単な防止弁は極めて有効である。給気系に関しては,ハンドピース自体に汚染防止機構が組み込まれたものと,ユニット内部で圧力を調整しているものとに大別される。現在,国内で販売されているほとんど全てのユニットは以下のいずれかの対策が施されている。
エアータービンハンドピースによる交叉感染の防止
9月 3, 2019
歯科機器の選び方
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Benwilehg39205
歯科治療にともなう交叉感染は,エイズや B型・C型肝炎,あるいは MRSAに関する情報が浸透するにつれ,広く一般から注目される問題となってきた。特に,日常の診療で多用されるエアータービンハンドピースは,汚染の著しい器材であるにもかかわらず,滅菌操作の煩雑さ,滅菌による耐久性の低下,あるいは経済的に困難であること等の理由から感染予防対策が立ち後れていたののひとつであり,近年になってようやく,患者毎の交換,滅菌の必要性が認識されるに至っている。しかしながら,これまで一般に用いられてきたエアータービンハンドピースシステムでは,汚染はハンドピース内にとどまらず,ハンドピースとユニットを接続するチューブや,さらにそれらを通過してユニット内部にまで及ぶ危険もあって,患者毎にハンドピースを滅菌,交換しても根本的な対策にはならないことが指摘されている。
給水系,給排気系の汚染